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顧客事例

株式会社ディンプスの導入事例:激変するネット負荷、予測困難なオンラインゲームのバックエンドをキッチリ支える

2017年11月20日
Google Cloud Japan Team

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家庭用ゲーム機においても「オンライン対応」が当たり前の時代。しかしオンラインゆえにユーザーのトラフィックは予測困難で、バックエンドシステムには従来以上の柔軟性や高性能が求められます。今回「Google Cloud Platform」を採用することで、厳しい条件のバックエンドを、高性能、高可用かつ低コストで実現した事例をご紹介します。

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■写真左から
 株式会社ディンプス
 ソフトウェア技術部 次長 兼 ネットワーク技術課 課長
 田中 正樹 さん(写真、中央)

 シリコンスタジオ株式会社
 技術本部 オンライン技術部 リードソフトウェアエンジニア
 岡田 正之 さん(写真、左)

 シリコンスタジオ株式会社
 技術本部 オンライン開発部 テクニカルディレクター
 関谷 卓 さん(写真、右)

■ 利用している Google Cloud Platform サービス
Google Compute EngineCloud StorageCloud Load Balancing

株式会社ディンプス
大手ゲーム会社から独立した開発者たちによって、2000 年に設立。業務用および家庭用コンピュータ ゲームの研究、開発を行う。株主には、国内の著名なゲーム パブリッシャーが名を連ね、さまざまなプラットフォームに向けた、ゲーム、マルチメディア コンテンツの開発を手がける。

独自性を持ち、かつコスト効果の高いサービス実現に必須だったクラウド移行

株式会社バンダイナムコエンターテインメントが販売する、全世界規模での大ヒットゲーム「ドラゴンボール ゼノバース」。2015 年に発売され、悟空などの人気キャラクターと一緒に戦える、ファンにはたまらないゲームです。その続編である「ドラゴンボール ゼノバース 2」は期待の新作で、もちろんオンライン対応。ディンプスは、この両方を開発した実力派の制作会社で、「ゼノバース 2」のオンラインサービスのバックエンドに Google が提供する「Google Cloud Platform」を全面採用しました。

実は、同社は 2000 年の創業当時から、自社が開発するゲームのオンライン対応に着手。2005 年には本格的なオンライン対戦ゲームを運営開始しました。特筆すべきは、このゲームに向けて、独自のオンラインゲーム用サービスを可能にするため、自社にサーバーを設置し他のオンラインゲームとの差別化を図っていたことです。
ディンプスの田中さんは「2005 年当時はクラウドサービスが今ほど一般的ではなかったので、米国から巨大なサーバーを輸入し、オンプレミスで運用をしていました。初期導入や運用のコストも、とても大きかったですね」と当時を振り返ります。

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このようにディンプスは自社でオンライン対応のノウハウを蓄積しつつ、一方で、ネットワークとバックエンドシステムに関しては、より高い技術力を持つパートナーとの協力体制を模索していました。そんな中、業界内で定評があったシリコンスタジオ株式会社とパートナーシップを締結。1 作目の「ドラゴンボール ゼノバース」では、オンライン対応に関わる開発や運用について、両社が協力してサービスの提供を行いました。
シリコンスタジオは、バックエンド領域での技術力に加え、自社で運営するデータセンターを持っています。これはネットワークサービスを提供するうえで、コスト面、運用面での大きなメリットです。では、両社が最新作である「ドラゴンボール ゼノバース 2」のバックエンドを、既存のデータセンターを使わず全面的に Google Cloud Platform へと移行した理由は何だったのでしょうか。
それは「コスト」に関する「柔軟性」と圧倒的な「優位性」だったといいます。

オンラインゲームのバックエンドに要求される適正なスペックは、ゲームの仕様やリアルタイムのプレイヤー数、ビジネス戦略などによって常に複雑に変化します。この変化に、合理的なコストで柔軟に対応できるバックエンドを確保するには「オンプレミスからクラウドへの移行は必然だった」と田中さんはいいます。

またシリコンスタジオでは、オンラインゲームの分野において、こうしたニーズが高まっていくことを視野に、2014 年ごろからクラウドサービスの検証や比較検討を始めていました。「ドラゴンボール ゼノバース」は、基本的にはオンプレミスのシステムで運用しつつ、一部を Google Cloud Platform を利用する形で、クラウドの運用実績を積んでいました。クラウドサービスの中から、Google Cloud Platform を選択した理由として、シリコンスタジオの岡田さんは圧倒的な「コスト」の優位性を挙げます。

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「これまでオンプレミスでシステムを運用していた実績がありますので、それと同等の性能を IaaS 上のインスタンスで実現できることを基準に、各種クラウドの比較検討を進めました。Google Cloud Platform は、他の著名なサービスと比較して、料金が半額以下になる見込みがあり、それが選択理由のひとつでした。」

また課金体系が、他のサービスと比べてわかりやすい点にも魅力を感じているそうです。
シリコンスタジオの関谷さんは「他のクラウドサービスの場合、ある程度の性能を確実に確保しようとすると、月単位のリザーブ契約となり、コストが増える傾向にあります。一方、Google Cloud Platform では、そうした契約が不要で、かつ使ったリソースの量が増えれば、その量に応じて自動的にボリュームディスカウントがかかる仕組みになっています。われわれの場合には、この仕組みのほうが使い勝手が良いのです」と話します。

コスト面に加え「信頼性」「安定性」も実証-活用範囲の拡大を視野に

運用を開始してからは、コスト面のメリット以外に Google Cloud Platform の特長のひとつである「ライブ マイグレーション」にも大きなメリットを感じているそうです。ライブ マイグレーションは、IaaS 上のインスタンスを止めることなく、Google 側で自動的にインフラ部分のメンテナンスや機能強化を行う仕組みです。

「無停止でのライブ マイグレーションは、一般消費者向けにサービスを提供しているわれわれの立場からは、非常にありがたいです。」(岡田さん)

「加えてライブ マイグレーションは、インフラ部分の性能強化も自動的に行われる点が興味深いですね。われわれの場合、検討段階から現在に至るまで、継続的にオンプレミスと Google Cloud Platform 上のインスタンスとの間で性能比較を行っています。検討を開始した当時は『性能面でクラウドがオンプレミスの物理環境を超えることはない』と考えていたのですが、現時点で既にクラウドのほうがオンプレミスよりも高いパフォーマンスを出せるようになっています。」(関谷さん)

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インフラの性能が、Google によって継続的に改善されることは、ユーザーにさまざまなメリットをもたらします。たとえば、稼働中のインスタンスに対し予想外のアクセスが集中しても、ライブ マイグレーションによってインフラ側の性能が上がっていれば、そのままでも十分に対応できる可能性が高まります。逆に、従来と同等のパフォーマンスを得るために必要なインスタンスのコストは相対的に下がっていくため、ユーザーが適宜調整を行えば、ランニングコストを圧縮することも可能です。

「ドラゴンボール ゼノバース 2」での Google Cloud Platform 全面採用を経て、両社では、今後さらにその活用範囲を拡大していくことも検討しているそうです。

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© バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション 

© BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

「ゼノバース 2 では、オンプレミスで動かしていた前作のシステムを、そのまますべてクラウドに移行することを目標に構築しました。移行という部分は大成功でしたが、これだけではまだ Google Cloud Platform の本当の力を引き出せていないと思っています。ワールドワイドに展開するタイトルにおいては、コンテンツ配信を高速化するためにエッジロケーション(世界各地に設置された Google 専用ネットワークへの接続ポイント)を効果的に使えないかとか、プレイヤーデータ管理の仕組みとして分散データベースである『Cloud Spanner』を活用できないかなど、今後のタイトル開発では検討していきたいです。」(田中さん)

「Google Cloud Platform のマネージドサービスや、 PaaS である『App Engine』などについて、既に機能検証や、実案件への導入を始めつつあります。最新の機能についても、随時、検証や評価を進めながら、ニーズに応じて最適な部分に Google の技術を取り入れたいと思っています。さらに使い勝手の良いサービスに進化させていってほしいですね。」(関谷さん)
両社では、これまでの運用を通じ、技術的な問題に対する Google の対応にも信頼を感じているとのこと。加えて今後の活用レベルの向上にも期待に応えてくれるという感触を得ているようです。

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ドラゴンボール ゼノバース 2
発売元:株式会社バンダイナムコ エンターテインメント

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