Japan 公式ブログ
Google の企業向けソリューションに関する公式な情報やユーザーの事例などを、いち早く皆さんにお届けします。
Google Maps APIs を使って IoT デバイスで位置情報を特定する
2017年6月30日金曜日
この記事は Google Maps API のソリューション アーキテクト、Ken Nevarez
による Google Geo Developers Blog の記事 "
Google Maps and Particle partner to bring location-aware capabilities to IoT devices
" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
昨年、「
IoT を容易にする Particle と GCP
」でも紹介した IoT プラットフォームの Particle と Google Maps APIs を組み合わせることによって、GPS を使わずに IoT 端末で位置情報を容易に検出できるようになりました。たった 1 行のコードを書き加えるだけで、ネットワーク上に分散する端末やセンサー(IoT エッジデバイス)から
Google Maps Geolocation API
を使用して Wi-Fi や携帯電話の基地局に関する Google の地理空間データベースにアクセスできるようになります。
IoT 端末やセンサーの位置情報を把握するために、高価で消費電力の大きな GPS モジュールはもはや必要ありません。既存の GPS システムと Google Maps APIs を一緒に活用することで、精度の高い位置情報を得ることが可能となり、屋内など GPS が働かない場合でも位置情報を把握することができます。
現在 Particle と Google では、収集したデータを Google Cloud Platform に送信する一連の流れをサポートしています。IoT センサーは自身の位置情報を検知すると、関連データを収集して返します。
Google Cloud Platform
にこうしたデータを蓄え、堅牢なクラウド上で利用することができます。
従来のアセット トラッキングは GPS などをベースに構築されていますが、GPS は過密な都市エリアや室内では利用できないことがしばしばあります。これは、GPS 信号が高層ビルや屋根によって遮断されてしまうためです。一方 Geolocation API は、携帯電話の基地局や Wi-Fi の信号をベースにするので、GPS が無効な場合でも位置の検出が可能です。そのため、屋内外を問わず、あらゆる場所のアセットのトラッキングが可能です。
IoT が主導する世界では、位置以外の情報も捉えることができます。こうした追加情報は、利用目的によって大変重要なものもあります。たとえば、冷凍品のサプライチェーンでは、「温度」に関する情報は工場、発送センター、輸送トラックにとって重要なデータの一つです。こうした情報によって、サプライチェーンの全体像を把握して、高品質の商品を配送することが可能になります。
Particle プラットフォーム上に構築されたWi-Fi 対応製品は、位置情報に基づいてその設定を自動化する機能も提供します。Geolocation API を使用することで位置情報に応じて、タイムゾーンの設定や、利用可能な周波数帯域の調整、地域ごとのサービス プロバイダへの接続などを自動的に行います。これにより、製品の設定作業はシームレスになり、操作性も向上し、有用な分析も可能になります。
たとえば、窓のブラインドの場合、位置情報をもとに日照時間のデータを参照して、その開閉を制御することで室内の温度を調整することができます。また、位置情報を送信する機能がついたコーヒー メーカーの場合、その位置情報から市場浸透率やターゲット層の詳細などマーケット分析に必要な情報を得ることもできます。
Particle 端末で位置情報を有効にする方法は、こちらの
ドキュメント
を参照ください。必要な基本ステップは次の 4 つです。
位置情報に対して有効な Google Maps API キーを取得する
Particle 端末に Google マップのファームウェアを書き込む
Particle Console で Google Maps Integration を有効にする
テストする
Google と Particle の詳細は、デベロッパー
ドキュメント
をご覧ください。
Google Cloud Next '17 in Tokyo 開催!
2017年6月16日金曜日
Google では、6 月 14 日~ 15 日にかけて、アジア太平洋地域最大のクラウドイベント「
Google Cloud Next '17 in Tokyo
」を開催しました。2 日に渡った同イベントには、1 万 3000人を超えるビジネスリーダーや開発者、パートナー企業各社が参加しました。本ブログでは、基調講演や 80 を超える技術セッションの中から、Google Cloud Next'17 in Tokyo のハイライトをお届けします。
一日目の基調講演では、Google Cloud 統括 バイスプレジデントのダイアン グリーンが登壇し、Google のクラウドビジネスの現状やビジョンを語りました。日本におけるクラウドビジネスの順調な伸びを示す一例として、GCP リージョン運用開始後の Google Cloud Platform (GCP) 新規ユーザーによる Google Computing Engine (GCE) 利用が 約 4 割に上ることを紹介。特に直近 3 ヶ月においては、新規ユーザーによる GCE 利用が毎月平均 21% 増加しており、多くのユーザーにご好評をいただいています。さらに、日本全体においては、Google Cloud サービスの顧客数(有料のみ)が、昨年比で 70% 増加しました。
Google Cloud シニア バイス プレジデント ダイアン グリーン
また、Next 開催にあわせ、東京 GCP リージョンが
Cloud Spanner
(本年 5 月 一般提供開始)の利用、及びデータ保存に対応しました。Cloud Spanner は、世界初の水平スケーリング可能なリレーショナルデータベースサービスです。顧客認証システムや事務処理、在庫管理システム、大容量メディアシステムといった低いレイテンシで大量の処理が必要なデータの取扱いを得意としています。また、Google Cloud 製品のセキュリティについて、
FISC 安全対策基準等への対応状況を
GCP
、
G Suite
それぞれのウェブサイトに追記しました。
「働き方改革」の推進
G Suite は、「柔軟な働き方を可能にするテクノロジー」、「機械学習の活用によるルーチンワークの効率化」、「場所にとらわれない次世代のチームコラボレーション」を通じ、企業の「働き方改革」推進を支援しています。
今回、「働き方改革」の新たなパートナーに、株式会社ファミリーマートをお迎えしました。株式会社ファミリーマートでは、日本発 世界で通用する次世代の小売モデルの構築実現のために、本パートナーシップを通じ、働き方改革、店舗業務改革や次世代店舗開発を行なう予定です。プロジェクト「ファミマ 10x」では、G Suite を活用した働き方改革の実施、さらなる業務効率化やイノベーティブな企業文化の醸成を図ります。店舗業務改革、次世代店舗開発においては、Google Cloud の分析基盤や機械学習ソリューション等の活用を検討中です。Google では、導入支援としてチェンジマネジメントアドバイザリーやトランスフォーメーションアドバイザリー等のプロフェッショナルサービスを提供いたします。
株式会社ファミリーマート 代表取締役社長 澤田 貴司氏
また、基調講演では G Suite の導入で 1 週間あたり平均 9 時間の業務時間短縮効果があった、とする PwC の調査結果を紹介。さらに、”場所にとらわれない” チームコラボレーションを可能にする次世代ホワイトボード「Jamboard」の日本展開について、2018 年中の提供開始を発表しました。
パートナーシップの拡充
今回、NTT コミュニケーションズ株式会社が、Google Cloud の新たなパートナーとして参画しました。本パートナーシップの締結により、NTTコミュニケーションズ の Enterprise Cloud と GCP の接続や、機械学習やビッグデータ分析をはじめとした両社の強みを活かした新サービスの開発を行います。また、同社自身が G Suite と GCP を導入・活用しノウハウを蓄積する事で、日本のエンタープライズ顧客のニーズに応えるサービスの提供をはじめ、本パートナーシップの海外への展開を目指します。日本国内外において、多方面に実績のあるNTTコミュニケーションズ株式会社との未来志向の協業を通じ、より幅広い顧客のニーズにお応えできる環境を構築してまいります。
NTTコミュニケーションズ株式会社 取締役 クラウドサービス部長 森林 正彰氏
また、すでに G Suite 等のパートナーである KDDI 株式会社においては、今年 8 月より GCP にもパートナーシップを拡大します。これに加え、特にニーズの高い Google Cloud へのダイレクトな接続を可能とするために、ネットワークインフラの分野においても、さらなる協業を予定しています。今後の発表にご期待ください。
また、2011 年に G Suite の販売を開始したソフトバンク株式会社では、今後 Google Cloud のビジネスパートナーとしての活動をよりいっそう強化する一環として、GCPをベースとしたソリューション提供を開始します。今後は、自社のクラウドサービス「ホワイトクラウド」との連携や、ソフトバンク株式会社流の「働き方改革」に関連したサービスなどの展開を予定されています。
機械学習、ビッグデータ分析、IoT
二日目の基調講演では、GCP 製品の活用例として、キユーピー株式会社による機械学習の活用や、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社によるビッグデータ分析の事例をご紹介いただきました。
キユーピー株式会社では、高い食品の安全・安心の確保のために、1 日あたり1工場で使用する 4~5 トンもの原料に対し、人力による全量検査を行っていました。今回、このプロセスの機械化による生産性向上を目指し、Cloud Machine Learning Engine とTensorFlow を活用し、機械学習で良品の特徴を学ばせることで、
品位不良品を検出する原料検査装置を開発
しました。今年 4 月上旬にはプロトタイプを用い、工場で実証実験を実施。今後、AI を活用した汎用的な検査機構の開発の推進、他原料やさらなる工場への導入に向け開発を継続されています。
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社では、 Sony グループ企業各社に対しクラウドサービスやアプリケーションの開発運用、データを活用した事業を展開しています。 Hive/Hadoop の環境からPoC を経て、BigQuery を中心とした商用データ分析基盤 ( Private DMP ) を構築しました。これにより、データ運用の省力化に加え、分析官だけでなくSQL を少し書ける人でも効率的な分析ができるようになり、分析結果を商用サービス適用するまでの生産性を向上することができました。
セルラーおよび LoRaWAN ネットワークを用いた IoT デバイス向け接続サービスを提供する株式会社ソラコムは、同社のデータ転送サポートサービス「 SORACOM Beam 」で Cloud IoT Core のサポートを発表しました。また、クラウドアダプタサービス「SORACOM Funnel」を用いて、制約のあるデバイスからでも Cloud Pub/Sub にメッセージを送信することができるようになりました。これにより、例えば、電池駆動の極小センサーからも LoRaWAN を通じて、数ヶ月にわたり GCP にデータを送り続けることができます。
Google Cloud Next'17 in Tokyo にご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。このイベントが参加された皆さまにとって、アイディアや情報交換の場となり、新たなインスピレーションが湧いてくる、そんな場であったならば、これ以上嬉しいことはありません。次の Google Cloud Next もご期待下さい。
株式会社サイバーエージェントの導入事例:動画広告クリエイティブソリューション『VS』に Google Cloud Vision API を導入。一部のタグ付けを自動化し効率的に新たなサービスの展開を実現
2017年6月15日木曜日
Google Cloud Next '17 in Tokyo ブレイクアウトセッションにご登壇の株式会社サイバーエージェント。
「AbemaTV」や「アメーバブログ」を展開し、国内インターネット広告業界でトップシェアを誇る同社において人工知能のアドテクノロジー活用を図る研究組織、「AI Lab」が分析開発に携わり「
Google Cloud Vision API
」を活用。
ブランディング広告をターゲットにした動画広告クリエイティブ分析ソリューション『VS(バーサス)』において、ブランドリフトに寄与する構成要素を「
Google Cloud Vision API
」の動画自動解析機能を利用し、カテゴリの物体をラベル検出しています。企業・サービスロゴの位置やサイズ、コピー要素、背景要素、キャスト要素など、約 100 種類のラベルにこれを集約。その組み合わせによって広告の効果を評価しているのです。
詳しくは、VS の開発ストーリーでご紹介いたします。
サイバーエージェント Google Cloud Vision API 導入事例
また、サイバーエージェント の
導入事例 PDF
も合わせてご覧ください。
GCP のその他の導入事例は
こちら
をご覧ください。
任天堂株式会社の導入事例:ビッグタイトル『Super Mario Run』のバックエンドを支えた Google App Engine
2017年6月14日水曜日
昨年末にリリースされ、任天堂初のスマートフォン向け本格ゲームアプリとして注目された『Super Mario Run(スーパーマリオ ラン)』。その背後では、文字通りケタ違いのアクセスをさばく強力なバックエンドが稼働していました。任天堂、DeNA そして Google が一丸となって取り組んだ、その開発ストーリーをお届けします。
■利用している Google Cloud Platform サービス
Google App Engine
Google BigQuery
Google Cloud Dataflow
Google Cloud Datastore
Google Cloud Pub/Sub
Google Cloud Storage
Google Stackdriver
(Logging, Monitoring, Trace, etc)
など
■
任天堂株式会社
1980 年代に『ファミリーコンピュータ』によって、世界中にビデオゲームブームを巻き起こし、その後も家庭用ゲーム機市場を牽引し続けている老舗エンタテインメント企業(1889 年創業)。マリオやドンキーコング、ゼルダの伝説、どうぶつの森など、強力な IP(知的財産)を多数保有していることでも知られている。
アプリの将来に備え、バックエンドをマネージドサービスに移管
2015 年 3 月 17 日に突如発表され、世界中のゲームファンに衝撃を与えた任天堂のスマートデバイス進出。そのゲームアプリ市場で絶大な実績とノウハウを持つ株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)との協業(業務・資本提携)によって、マリオなど、任天堂の誇る世界的 IP をスマートデバイス向けにも展開していくことが大々的に発表されました。相互の強みを活かす形で、ゲーム開発や、それを安定動作させるバックエンドを共同で開発していくことになったのです。そして、そのきっかり 1 年後となる 2016 年 3 月 17 日には、任天堂初のスマートデバイスアプリとなる『Miitomo(ミートモ)』をリリース。続いて、12 月にはiOS版『Super Mario Run』(Android 版は 2017 年 3 月リリース)が、2017 年 2 月には『ファイアーエムブレム ヒーローズ』が配信開始されています。今後も 1 年に 2~3 本のスマホアプリを投入していく予定ということです。
投入する全てのタイトルがそれぞれビッグタイトルとなることが期待されている任天堂ゲームアプリにおいて、それを支えるバックエンドに求められる品質は並大抵ではありません。今回、DeNA 側のチームを率いて、このプロジェクトに参画した株式会社ディー・エヌ・エー オープンプラットフォーム事業本部 システム開発部 菅原賢太さんは、次のように当時を振り返ります。
「2016 年春に『Miitomo』をリリースした際は、オンプレミスに近い形でバックエンドを構築していたのですが、それだとどうしても運用にリソースを奪われてしまい、効率的な開発を妨げている面がありました。今はまだ良くても、このままタイトル数が増えていったら大変なことになるぞという懸念があったんですね。また、当時、任天堂さんから提示された『Super Mario Run』の想定トラフィックが、これまで多くのスマホアプリを手がけてきた我々の目から見てもあまりにもケタ違いで……。そこで、
Google App Engine(GAE)
のようなマネージドサービスを利用して、いくつかの業務を Google さんにシフトするということを提案することにしました。」
GAE のオートスケールは、トラフィック量に合わせて自動でインスタンスの追加、削除を行います。しかも、ミリ秒単位でその数を最適化することが可能です。世界同時リリースという大量のアクセス数が予想された今回のケースでは、システムがダウンすることは絶対に避けなければなりません。高可用性が求められるサービスの実現に GAE が選択された理由の一つがここにあるのです。
しかし、GAE を採用するということはバックエンドを 1 から作り直すと言うことにほかなりません。しかも菅原さんが任天堂にこの提案を行ったのは 2016 年 7 月末。『Super Mario Run』配信予定日まで、もう、半年を切っていました。任天堂側はこれについてどのように対応したのでしょうか?今回のプロジェクトのもう一方を担う、任天堂側のチームを率いてきた、任天堂株式会社ビジネス開発本部 スマートデバイス事業部の府川幸太郎さん、竹本賢一さんにも聞いてみました。
「確かに大規模な改修ではあるのですが、『Miitomo』で菅原さん率いる DeNA チームの実績を目の当たりにしていたので、今から始めても充分にやりきれるのではないかという確信がありました。いや、むしろ、今、このタイミングでそれをやらなければ将来的にまずいことになるだろう、と。また、個人的にもマネージドサービスを活用して社内の運用コストを軽減することに興味がありましたので、ぜひやりたいと思いました。」(竹本さん)
「……と、竹本は言いますが、私自身はそれよりもやや慎重でしたね(笑)。将来に向けた不安要素があるとは言え、既に安定稼働しているシステムがあり、その次に来るタイトルがマリオというビッグタイトルで失敗が許されないわけですから。そんな中、これまで使ったことのない GAE に移行するというのはかなりのチャレンジ。ただ、最終的には、私がテクニカルな面で信頼を置いているこの 2 人が問題ないと言うのだから移行しようと決断しました。」(府川さん)
任天堂株式会社
ビジネス開発本部 スマートデバイス事業部 事業システム開発グループ
グループマネージャー 府川幸太郎さん
“クレイジーな目標”に 3 社協力のもと邁進
こうして動き始めたバックエンドの GAE 移行。これに際し、竹本さんと、菅原さんはまず Google に技術的協力を要請します。もちろん、Google にとってもそれは望むところ。ちょうどその数か月前(2016 年 7 月)にNiantic, Inc. からリリースされた『Pokémon GO』での経験を踏まえ、大規模プロジェクトにおける安定性向上を顧客と二人三脚でやっていくべきだという認識が生まれていたのです。
「時間がない中、Google さんのフットワークの軽さ、積極性には本当に驚かされました。相談した先から、その場で一緒に課題を解決してくれる方をご紹介いただくなど、迅速に対応していただきました。」(竹本さん)
任天堂株式会社
ビジネス開発本部 スマートデバイス事業部 事業システム開発グループ
グループチーフ 竹本賢一さん
「9 月末ごろに一通りの実装が終わり、そこから、10%、20%と品質を高めていくため、さまざまな助言をいただきました。毎日のようにハングアウトでやり取りしたほか、実際にアメリカからお越しいただき、同じ部屋に籠もってみっちりトラブルシュートできたのはありがたかったですね。もちろん、こちらからもそれぞれのサービスをどのくらいの規模感で使うことになるのかなどを、エスティメーションシートにまとめて共有するようにしています。そうしたかたちで、非常に効率的に開発が進んでいった結果、10 月下旬くらいには満足できるレベルのものが仕上っています。」(菅原さん)
もちろん、そこからの負荷試験においても、Google は徹底的にこれにコミット。アメリカ本社の SRE(Site Reliability Engineering=サイト信頼性エンジニアリング)担当者も来日し、『Super Mario Run』の配信に耐えうる堅牢なバックエンドを構築。最終的には
Datastore
へのトラフィックテストにおいて、秒間 300 万アクセスのテストを完了。想定される数字の数倍ものアクセスにも耐えるシステムが完成しました。
「ただ、そんな Google さんから見ても、『Super Mario Run』を 150 か国・地域で同時スタートしようというのは衝撃的だったようで、最初のミーティング時に『あなたたちはクレイジーだ!』と言われてしまいました(笑)。でも、そこで、だからやるべきではない、ではなく、どうすればやれるのかを一緒に模索してくれたのはうれしかったですね。最初から最後まで建設的なやり取りができました。」(竹本さん)
システム構成図(GCPのさまざまなサービスを利用)
『Super Mario Run』配信当日、そこに“ドラマ”はなかった
そして迎えた、『Super Mario Run』配信日。その後の発表で明らかにされたように、わずか 4 日で 4,000 万ダウンロード( 1 億 5,000 万ダウンロードに到達する見通し。2017 年 4 月末時点)を達成しました。もちろんこの日は任天堂も DeNA も泊まり込みで待機していたそうです。近年、大規模タイトルでは少なからず接続障害が発生していますが、『Super Mario Run』はどうだったのでしょうか?
「ところが、これが本当に何事もなかったんです。あまりに何もなさ過ぎて不安になってしまうほど。当日にこんなトラブルがあって、それをこんなふうに切り抜けたんです、とか言えれば良かったんですが、そこに“ドラマ”は起きませんでした(笑)。」(菅原さん)
その後の『ファイアーエムブレム ヒーローズ』や Android 版『Super Mario Run』のリリース時にも、このバックエンドは安定動作。現在も特に大きな問題は起こっていないと言います。
「もちろん、小さなトラブルはいくつかありましたが、お客さまが長時間ゲームをプレイできなくなったというようなトラブルは発生していません。現在、抱えている課題は急激なアクセス増があった時に若干、遅延が発生するというくらいですね。今はその対策として GAE のオートスケールにちょっと手を加えて、アクセスが急増するゲーム内イベントの直前などに手動でインスタンスを上げられる仕組みなどを組み込んでいるのですが、これが完全自動化されるのが理想。今どきは機械学習などもありますし、Google さん ならきっとできるはず(笑)。もちろん、そのために必要となるデータはフィードバックさせていただいています。」(菅原さん)
株式会社ディー・エヌ・エー
オープンプラットフォーム事業本部 システム開発部 アライアンスシステムグループ
グループマネージャー 菅原賢太さん
今回開発したシステムでは、ゲームに関係する各種ログデータも膨大に記録されています。こうしたデータの分析には
BigQuery
を活用。大量データを瞬時に分析することが可能となり、今後のアプリ開発に有益な情報を蓄積しています。
「今後もタイトルをリリースしていく予定ですが、任天堂、DeNA さんそして、Google さんの、このメンバーでやっているうちは、大きな壁を感じることはないのではないかと期待しています。報道などでは意外と言われることもあった、任天堂と DeNA さんの組みあわせですが、実際にやってみると、任天堂が長年培ってきたグローバルサービスのノウハウと、DeNA さんが持っているモバイルのノウハウが相互に補うようにがっちりハマりました。今、考え得る最高のチームが作れたのではないかと思っています。」(府川さん)
任天堂株式会社の導入事例 PDF は
こちら
をご覧ください。
GCP のその他の導入事例は
こちら
をご覧ください。
Google Cloud チーム より日本のお客様へ : FISC 安全対策基準 に関する G Suite、Google Cloud Platform のセキュリティ情報をアップデート
2017年6月14日水曜日
Posted by 菅野 信 (Google Cloud Customer Engineering 日本担当マネージャー), 寳野 雄太(Google Cloud Customer Engineer)
本日、
Google Cloud Next '17 in Tokyo
において、日本のお客様のクラウド利用への取り組みのさらなるサポート施策として、
Google Cloud Platform
,
G Suite
のセキュリティ(
GCP
、
G Suite
)をアップデートし、FISC 安全対策基準等に関する情報を追記しました。
Google は、何年にもわたり先進のインフラストラクチャの構築を進め、世界中のエンタープライズのお客様にクラウドサービスの提供を行ってまいりましたが、私たちはクラウドでのデータ保護に関する透明性を、更に高めたいと考えています。また、透明性の向上に加え、日本のお客様が法令やコンプライアンス基準に準拠した企業活動を行えるよう、今後とも積極的な支援を行ってまいります。今回のアップデートにより、 Google Cloud のご利用を検討されているお客様のコンプライアンス対応の手間を削減し、更にはクラウド・サービスのご利用をすすめるお客様のビジネスの変革をお手伝いできることを期待しています。
関連ドキュメント:
G Suite のセキュリティに関する FAQ
G Suite のセキュリティとコンプライアンスに関するホワイトペーパー
G Suite のセキュリティに関するホワイトペーパー
(英語)
Google のデータセンター
Google Cloud Platform のセキュリティ
Google インフラストラクチャのセキュリティ設計の概要
Google のセキュリティに関するホワイトペーパー
Google Cloud Platform での保存時の暗号化
【Google Cloud Next '17 in Tokyo】ライブストリーミングのご案内
2017年6月14日水曜日
いよいよ本日より、最新のクラウドテクノロジーをご紹介する Google の旗艦イベント、
Google Cloud Next '17 in Tokyo
を開催します。会場においでになれない方は、お手持ちのパソコンからライブストリーミングをご視聴ください。
ライブストリーミングの視聴は
こちら
※ライブストリーミングでご覧いただけるのは、両日午前に予定されている、基調講演のみとなります
※音声は、右上のプルダウンから日本語および英語のいずれかを選択いただけます
「Google Cloud Next '17 in Tokyo 」詳細につきましては、
イベントホームページ
ならびにこれまでのブログ投稿(以下)をご覧ください。
第一回(イベント概要)
/
第二回(セッション情報)
/
第三回(おすすめセッション)
/
第四回(体験エリア)
/
第五回(Google 主催 ハンズオン)
/
第六回(ナイトイベント)
公式ハッシュタグ #googlenext17
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イベント名: Google Cloud Next '17 in Tokyo
日 程: 2017 年 6 月 14 日(水)・15 日(木)
開 場: 8:30
基調講演: 9:30 〜 11:30
セッション: 12:00 〜 18:00
会 場:
ザ・プリンス パークタワー東京
〒105-8563 東京都港区芝公園 4 - 8 - 1
お問い合わせ先
Google Cloud Next Tokyo '17 運営事務局
nexttokyo17@google.com
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Google Cloud Partner Summit Japan ‘17 開催と Partner Contest Winner の発表
2017年6月13日火曜日
Google Cloud Next
‘17 in Tokyo 開催を目前に控えた本日、G Suite、Google Cloud Platform、マップ、デバイスの 日本の Google Cloud パートナーが一同に会し、Partner Summit Japan ‘17 を実施しました。365
名
の方にご参加いただいた基調講演では、パートナー企業の成長を加速し、お客様を成功に導くための注力分野についてご説明しました。また、午後の 8 つのブレイクアウトセッションでは、テクノロジーの詳細をご紹介しました。
そして、 Partner Contest では、代表するパートナー 16 社より、各社の強みや事例を紹介いただくプレゼンテーションを行ない、Google だけでなくパートナーご参加者全員による審査のもと、以下 5 部門の Winner が表彰されましたので、ここに発表いたします。
グランプリ Winner
株式会社グルーヴノーツ
Wow 部門 Winner
株式会社ブレインパッド
ビジネス インパクト部門 Winner
株式会社ターン・アンド・フロンティア
One Google 部門 Winner
クラウドエース株式会社
審査員特別部門 Winner
株式会社永和システムマネジメント
受賞企業の皆さま、おめでとうございます。
企業の革新をより速く、よりスマートに、よりセキュアに行っていく、という Google のコミットメントを遂行していくためには、Google Cloud パートナーの存在が不可欠です。パートナーはお客様に多大な価値を提供し、Google はパートナーの成功をサポートすることをコミットしています。パートナーエコシステムやパートナーとの発展的かつ多角的な連携なしには、お客様のイノベーションを後押ししていくことはできません。
私たちは、このエコシステムが、Google やパートナーの成功を促進するだけでなく、顧客がクラウドでビジネスを変革し、次なるものを構築するのに役立つと考えています。
Google Cloud パートナープログラムへの参加の詳細は、
こちら
からご確認ください。
キユーピー株式会社の導入事例:キユーピー+ブレインパッドの取り組みで次世代の AI 検査装置を実現!
2017年6月6日火曜日
工業製品と異なり、個体ごとの揺らぎの大きい食品原料の世界では、良品・不良品の検査・仕分けを人力に頼らざるを得ず、それが現場の大きな負担になっていました。そんな中、昨年 10 月にキユーピー株式会社が、人工知能(AI)を駆使した原料検査装置の開発を表明し大きな話題に。ここではその取り組みについて、その開発を主導した 4 人のキーパーソンに聞いてきました。
キユーピー株式会社
生産本部 生産技術部 次世代技術担当
担当次長
荻野武さん(写真中央)
挙母工場 製造二課 鶏卵購買・企画担当
係長
田村崇さん(写真左)
生産技術課 開発係
向井泰平さん(写真右)
■利用している Google Cloud Platform サービス
TensorFlow
■
キユーピー株式会社
1919 年、食品工業株式会社として設立。1925 年、「キユーピーマヨネーズ」の製造を開始。1957 年に社名をキユーピー株式会社に変更。現在グループ会社 55 社があり、そのうち海外には中国、東南アジア、米国などに拠点を持つ(2016 年 11 月現在)。コーポレートメッセージ「愛は食卓にある。」。
“安全”なだけでなく、“安心”できる原料でなければ良い商品は作れない
おなじみ「キユーピーマヨネーズ」を筆頭に、ドレッシングや各種調味料、ベビーフード、介護食など、日本人の食生活を 100 年近くに渡って支えてきたキユーピー株式会社。そんな同社がこれまで大切にしてきたことが『良い商品は良い原料からしか生まれない』という考え方です。今回のプロジェクトも、まさにここからスタートしたのだと、同社生産本部で次世代技術開発を担当する荻野武担当次長は言います。
「では『良い原料』とは一体どういうものなのでしょうか? まず、そもそもの前提として我々が仕入れている原料は、どれも信頼できる生産者が手がけた“安全”なものです。しかし、私たちはそれだけでは不十分だと考えます。例えば、ベビーフードの中に、害はなくとも、やや黒ずんだジャガイモが混じっていたらお母さんは心配に思いますよね。それは“安全”かもしれませんが、“安心”ではないのです。」(荻野さん)
これまでキユーピーはそうした原料由来の夾雑物(きょうざつぶつ)を、工場スタッフが目視で発見し、取り除いてきました。今回のプロジェクトに現場の代表として参加した、鳥栖キユーピーの向井泰平さんが勤務するキユーピー鳥栖工場では、スタッフの約 25 %にあたる 30~40 名がこうした検査業務に従事。まさに人海戦術でキユーピー品質を守ってきたのです。
「鳥栖工場では、1 日あたり 4~5 トンもの原料に対し全量検査を行っており、それが大きな負担となっていました。検査には一定以上の熟練が求められるため、人を増やすのも簡単ではありません。結果、思うような増産ができないなど、生産上の大きなボトルネックになってしまっていたんです。当然、これを機械化できないかということは何度も検討したのですが、従来の定番であったマシンビジョンでは、品目ごとに仕分けの定義を設定せねばならず、精度の面でもコストの面でも現実的ではありません。何せ鳥栖工場だけでも約 400 種類、全社的には数千種類もの材料を扱っているわけですから。」(向井さん)
そんな中、荻野さんは、自ら学習して精度を高めていくことができる AI を活用することで、この問題を解決できるのではないかと考えました。
「具体的な検討を始めたのは昨年夏ごろ。AI を専門に研究する機関も含め、数十社の AI 技術を検討しました。結果、画像解析の分野では、早くからこの方面で注目を集め、既に多くの実績も備えていた Google の
TensorFlow
がベストであるという結論に達しました。」(荻野さん)
さっそく荻野さんは、Google に自らの考えを打診。信頼できる開発パートナーとして、AI 開発支援で多くの実績を誇る株式会社ブレインパッドを紹介されました。しかし、そんな同社に取っても、キユーピーの目指す理想は簡単なものではなかったそうです。
「これまでも製造工程上の不良品を発見するシステムは複数開発していたのですが、キユーピーさんはこれまでのどの事例よりも検査基準が厳しく、検査精度を高めることが一つのハードルとなっていました。しかもそれを、ベルトコンベアー上を高速に流れていく原料に対して行わなければなりません。この精度と速度の両立は我々にとってもチャレンジでした。」(
株式会社ブレインパッド
テクノロジー&ソフトウェア開発本部 下田倫大さん)
AIを活用することによって“現場力”を高めたい
こうして始まった、キユーピーの次世代検査装置プロジェクト。その開発においては、「最初に最も高いハードルを課す」(荻野さん)ため、安全・安心において最も厳しい目が向けられるベビーフードの原料となるダイスポテト(賽の目状にカットされたジャガイモ)を検査対象に設定。約 1 万 8,000 枚のライン写真を TensorFlow に読み込ませ、良品・不良品の閾値(しきいち)を徹底的に学習させたそうです。
「ここで、大きなブレイクスルーとなったのが、AI を正解・不正解を判断する『分類器』として使うのではなく、良品の特徴を学習し、そうでないもの=不良品を弾く、『異常検知』というアプローチを採用したこと。このアプローチですと、良品のデータだけを学習させるだけで高い精度と速度を両立できるようになります(分類器として精度を出すためには、不良品のデータも膨大に学習させる必要がある)。グローバルかつオープンな TensorFlow は、コミュニティの受け皿が大きいことも特徴です。論文で発表されているアルゴリズムが既に実装されているケースも多く、トライの閾値が低いのです。こうしたエコシステムができあがっていることも TensorFlow の強みと言えるでしょう。」(下田さん)
「ブレインパッドさんのおかげで、開発も順調に推移。概念実証(POC)を 11 月頃に行い、年末にそれを踏まえた構想設計を開始。2 月にはプロトタイプが完成し、4 月上旬にはそれを鳥栖工場に持ち込んで実証実験を実施しています。その際、あえて人力で取り除いた不良品を混ぜ込んだ原料を検査させたのですが、ほぼ正確にそれを指摘してくれるなど、結果は上々でした。今後は、実験で明らかになったいくつかの問題の解消や、更なる速度アップを行い、さらに完成度を高めていく予定です。もちろん“その先”もすでに構想しているのですが、今回はまだ内緒ということにさせてください(笑)。」(荻野さん)
将来的にはこの検査システムを、原料メーカーなどの協力会社に外販していくことも考えているとのこと。その点について、本プロジェクトでマーケティング面を担当しているキユーピー挙母工場 企画担当係長の田村崇さんは次のように語ります。
「マシンビジョンに代表される既存の検査システムは、高価で設置に大きなスペースが必要になる上、応用がきかないため、おいそれと導入できるものではありませんでした。そんな中、AI を活用した汎用性のある検査機構には間違いなく大きなニーズがあります。今はまだダイスポテトだけですが、今後、別の穀物、そして私が買い付けを担当している鶏卵など、さまざまな方面に拡張していけるようにしたいですね。」(田村さん)
なお、この取り組みに際して誤解されたくないのは、AI による自動化の目的が、人員・コストの削減ではないことなのだと、荻野さんは強調します。
「むしろ、AI を活用する狙いは活人化。人間→AI ではなく、人間×AI によって、“現場力”を高めていくことが真の目的なのです。まずは今回開発した検査システムで大まかに不良品を取り除き、そこから漏れたものを、熟練のスタッフが弾いていくという合わせ技で生産性を高めていけると考えています。実際、実証実験に協力してくれた現場スタッフの反応は極めてポジティブ。単純作業をシステムに任せられるようになることで、よりクオリティの高い仕事ができるようになると期待してくれているようです。」(荻野さん)
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【Google Cloud Next '17 in Tokyo】Next '17 in Tokyo Night 開催のお知らせ
2017年6月5日月曜日
Google Cloud Next '17 in Tokyo
の続報です。今回は、イベント最終日の夜に予定されている、Next '17 in Tokyo Night についてご案内します。
Next '17 in Tokyo Night @ 6 月 15 日(木) 18:00 開場 18:20 開始 (予定)
@ プリンス パークタワー東京 ルーム A - C (
フロアマップ
)
Next '17 in Tokyo Night は、Next Tokyo にご登録いただいている方ならどなたでもご参加いただけるネットワーキングパーティーです。ドリンク・軽食をはじめ、バンド演奏、豪華景品が当たるクイズ大会など、お楽しみいただけるコンテンツが盛りだくさんです。事前登録は不要ですので、ぜひお気軽にご参加いただき、Google 社員や参加者の皆さまとの交流を深めていただければと思います。
皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。
————————————————————
イベント名: Google Cloud Next '17 in Tokyo
日 程: 2017 年 6 月 14 日(水)・15 日(木)
開 場: 8:30 (予定)
基調講演: 9:30 〜 11:30 (予定)
セッション: 12:00 〜 18:00(予定)
会 場:
ザ・プリンス パークタワー東京
〒105-8563 東京都港区芝公園 4 - 8 - 1
お申し込みはこちら
https://goo.gl/qjf8Id
お問い合わせ先
Google Cloud Next Tokyo '17 運営事務局
nexttokyo17@google.com
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